関西臨床心理のカリスマたち
■倉戸ヨシヤ(関西大学・社会学部教授)
関西、いや、日本の「ゲシュタルト療法」の第一人者。
まず、あの「目」がカリスマである。あの目で睨まれるだけで心を読まれるような気がする。
そして、「絶対傾聴カウンセリング」への痛烈な批判姿勢。
「いちいちハイハイと頷かないように!」
「クライエントの言うことを単にオウム返しするだけでは、
今の時代に合ったカウンセリングは出来ない」
以上の2つの言葉は私に大きな影響を与えてくれました。
講義内容が「実習中心」というのも刺激的。
体を動かして、コミュニケーションすること、言葉の大切さなどを
教えてくれました・・・私淑しております。
■平井孝男(新大阪:平井クリニック院長)
好きです。
もう、関西人モロだしのキャラクターに、私との相性の良さを感じます。
講義の面白さ、笑いの取り方も独自性があり、氏の講義には何があっても参加してます。
氏の講義から私の心のメモに書き込んだものをいくつか紹介します。
「カウンセリングはサービス業。うんうん頷いてオウム返しではお客は満足してくれない」
「『まかせてくだい』『私がやります』など安易に受容・共感するな。
特に相手が境界例の場合は破滅を招く。自分ひとりで責任を負わず、
5割はクライエント自身に責任を持たせよ。カウンセリングは共同作業であることを忘れるな」
「『心の病など無い』。そのほとんどは、誰でもが持っている『心の弱さが肥大化』しただけ。
ゆえに治療目標を『不安などの完全消失』にもっていくのは幻想的な考え。
『不安の量を誰でも持ってる普通の人レベル』にまで下げましょう、という目標設定にせよ」
他にも目からウロコが落ちる言葉があるのですが、いろいろあってこの辺で。
ああ、私も平井先生の患者になりたい・・・。
■葛西真記子(鳴門教育大学助教授)
井本事務局長いわく、
「未来の日本臨床心理界を担う期待の星」。
そんなこと以前に、チャーミングな声にまいってしまいます。
まるで、アニメの声優のような可愛い声。
ルックスも抜群。男子生徒はメロメロ(死語)です。
しかし、一番の魅力は、研究されている
「精神分析的カウンセリング」でしょう。
ロジャース流の傾聴主義に限界を感じていた私は、
「来談者中心療法の長所」+「精神分析の長所」+「自己心理学のエッセンス」
という葛西先生のスタイルに、ものすごく可能性を感じます。
クライエントにとって、物足りないことなく、おせっかいすぎでもない。
個人的に、かなり理想的な技法だと思います。
あと、難しい理論を、平易な関西弁で誰にでもわかるように説明してくださる
才能も見事なもの。
難しいことを、カンタンな言葉に翻訳するっていうのは
本当に頭がいい人でないとできないのだと思う。
あー、もう一度先生の声が聴きたい。
好き!好き!真記子先生!!
■黒木賢一(芦屋カウンセリングオフィス代表)
関西・・・いや、日本の「トランスパーソナル心理学界」の第一人者。
ユング派の分析も受けてはりますし、気功の達人でもあります。
ユーモアを交えた講義も面白くて好きです。
人間的にも人格者です。
が、ひとつだけ弱点が・・・。
「ボーダーライン」です。
平井先生の話によると、過去にボーダーラインのクライエントと戦い
心身ともに疲れ果て、入院までされたとか。
そこまでして、「ボーダーライン」と戦う姿勢には感服します。
精神科医の中には、
「俺は境界例は看ない!」
と豪語される方もいらっしゃるとか。
そんな中で、真っ向からボーダーラインと戦おうとする黒木先生にエールを送ります。
・・・とか何とかいいながら、私、少し、いたずら心を起こしまして、
一度、黒木先生の所にカウンセリングを受けに行ったことがあるんです。
「実は私、医者から、境界例だと言われたんですけど・・・」
とウソをついて・・・。
黒木先生! ごめんなさい!
さすがの黒木先生も、私が「境界例」という言葉を出したとたんに、
顔色が変わりました。
2〜3回通いましたが、
厳しかったです。
講義のときにみせてくれる優しい顔ではなく、
「鬼神」のような迫力で、私に指導・助言を与えてくれはりました。
厳しい風紀係の先生のような感じで、
「もっと社会に根付け!」
「そんなことではダメだ。もっと積極的に社会と接しろ!」
先生の言葉は、いまの私の人生に大きな影響を与えています。
あんないたずらをする私は、本物の「ボーダーライン」かもしれません。
反省しています。ごめんなさい。
とにかく、実力派のカウンセラーです。
ぜひ、一度、教育分析に行かれることをおすすめします。
■大塚義孝(仏教大学大学院教授・日本臨床心理士会の大御所!)
臨床心理士の国家資格化に東奔西走する熱き情熱の人。
しかして、その実体は、
「お笑い関西人」。
この先生のアドバンスコースでの講義は「大爆笑に次ぐ大爆笑!」。
さらに「放送禁止用語」まで連発!!
あまりに危険な内容なので、テープの貸し出しはしてくれません。
どうして吉本はこの人を芸人にしなかったのか「謎」です。
しかし、やってることはキッチリやっておられます。
臨床心理士の資格は、この大塚先生クラスの臨床心理たちの
手にゆだねられているといっても過言ではないでしょう。
しかし、ボスの河合先生は、優雅にフルートなそを吹いておられますが・・・。
いいのでしょうか?
■氏原寛(前椙山女学園大学教授・ユング派の巨匠)
テキストなし!
ひたすら、生徒から質問を受け付けて、
即興で返答する。
まさに、質疑応答のバトルロワイヤル!
しかも、頭脳明晰、平易簡単、ズバリ的を得ている。
ユング派なのに、フロイト派のことにもロジャーズ派のことにも
精通している。
憧れてしまう。
あんな風に渋く、年を重ねていきたい。
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ところで、
「ある著名な先生が普通の生活でもいちいち頷くのは良くない・・・・」
と質問していた青年。
君、何か勘違いしているよ。
倉戸先生は、フンフン頷いているだけのエセロジャーズ派を批判して、
「カウンセリング中、クライエントの話の内容を理解していないのに、
頷いてわかったフリをするな! 本当にクライエントの話がわかったときだけ頷け!」
と言っていたのですよ。
注意するよーに。
■杉田峰康(福岡県立大学大学院教授)
名前を聞いても思い出せないアドバンスコース後期の皆さん。
<パーキンソン氏病>で体を動かせないのに、
TAゲシュタルト療法の実演で生徒全員に感動を与えた先生といえば
思い出していただけると思います。
日本臨床心理界のホーキング博士・・・もちろん、最大の賛辞です。
こころより、私淑しています。
はじめは、
「どうやったら、交流分析とゲシュタルト療法がくっつくねん?
そんなあほな…」
と不思議だったのが本音です。
しかし、その後、杉田先生の
「新しい交流分析の実際〜TAゲシュタルト療法の試み」(創元社)
を読んで納得がいきました。
交流分析には、ゲーム理論や人生脚本理論など「理論」は山ほどある。
しかし、「技法」といえば、グループでのロールプレイングや話し合いぐらいしかない。
1体1の対面面接に応用できる技法は少ない。
その反面、ゲシュタルト療法には、ホットシートなど「技法」は山ほどある。
しかし、「理論」が弱い。
そこで、杉田先生は、「交流分析の理論」と「ゲシュタルト療法の技法」を
巧みにドッキングされた。
そこから、多様多彩なテクニックが生み出された、という次第です。
「こんな体だから家族は、講演なんかやめろ、というが、
私は講演をしているほうが体の調子がいいのだ」
という言葉に嘘はない。
たとえ、自力で立てなくても、黒板に文字が書けなくても、
あの実演の「ど迫力」を見れば、
杉田先生の心の中にみなぎるエネルギーは充分に伝わってくる。
基礎コースの皆さん。アドバンスコースの杉田先生の講義は
絶対に参加してください。
魂が震えます。
泣けます。
■武田 建(学校法人・関西学院理事長)
自分をおとしめて笑いをとる・・・。
これ、関西の笑いの基本。
「吉本芸人」にはあるが「とんねるず」等に欠ける気概。
(北野武は謙虚だから例外)
身体的欠点あれば、これを使わぬ芸人はおらぬ。
我が、武田建氏もそのひとり。
禿頭・・・今風に申せばバーコード・・・を持って、
行動療法を切って捌いて美味しく調理。
あたかも名ジョッキ、名馬を乗りこなすごとし。
まさに「頭の差」か。
さりとて。
このまま笑いで押すかと思わせておき、
「誉めることにケチになるな!」「日本語はほんまにむずかしわ…」と
シーリアスなる口調で釘を刺す。
その見事なる話芸に、
カワイアン多き生徒達も知らぬ間に、
行動療法の虜になりし。
ああ、武田氏よ、行動療法のエヴァンッジェリストなりしや。
まあ。早い話が、とにもかくにも、
私もアンチ・ジャイアンツ。
某東京の巨人派巨頭だけは
このカリスマコーナーには入れぬぞと心に誓う。
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